スポーツ医学検定は意味がない?2級と1級を合格して感じるメリットなど

スポーツ医学検定の1級と2級に合格している筆者。

今回はそれぞれを受検した経緯と検定の内容、合格しての所感を述べていきます。

スポーツ医学検定とは

以下は、スポーツ医学検定公式サイトより引用です。

一般の人を対象にした、身体のことやスポーツによるケガの知識を問う検定試験です。

スポーツのケガを減らし、安全なスポーツ環境を作るために、スポーツ医学の知識(身体やケガの知識)を、スポーツ現場にいる方々に広めることを目的として作られました。

本検定で得られた知識を、

①ケガの予防

②ケガからの競技復帰

③競技力の向上

に活かせます。

 

なお1〜3級があり、

1級
(マスター)
身体やスポーツのケガの専門的な知識が問われます。
スポーツメディカルに関わる人はここを目指しましょう。
2級
(アドバンス)
身体やスポーツのケガのより詳しくより広い知識が問われます。
スポーツを指導する人はここを目指しましょう。
3級
(ベーシック)
身体やスポーツのケガの最も基本的な知識が問われます。
スポーツ医学に初めて触れる人は、ここから目指しましょう。

と、問題の難易度ごとに分かれています。

 

また、

問題は、スポーツ医学の専門家による委員会により作成されます。

また作成委員とは異なるメンバーで構成される委員会により、医学的妥当性や難易度などの評価を行います。

問題に関するすべての責任は、一般社団法人日本スポーツ医学検定機構にあります。

とあり、公式サイトの一般社団法人日本スポーツ医学検定機構の組織図をみても、医学をベースにスポーツ分野の問題が作成されているのが分かります。

 

なお、 

本検定の級を持つことで、実際の診療や治療などの医療行為を行う資格を有することには一切なりません。

としてあり、検定に合格したからといって何か特別な診療や治療ができるようになる訳ではありません。

 

スポーツ医学検定を受検した経緯

筆者は普段、作業療法士として、主に病院などで病気や怪我で日常生活において障害をおった方のリハビリテーションに関わっています。

解剖学や生理学、運動学、心理学などの学問をベースにリハビリテーションを展開していきます。

 

また、小・中・高・大学とそれぞれで野球部に所属し、社会人になってからも草野球チームに所属している筆者。

肩や肘の不調によりパフォーマンスが低下してしまうチームメイトに多々遭遇してきました。

職業柄、相談されることもあります。

しかし正直、学生時代にちょっと疾患のことをかじったくらいで、スポーツ分野は専門外。

大したアドバイスもできず、パフォーマンスが下がったままのチームメイトがたくさんいます。

 

元々、現在の職業に就いたのは、野球をしていて野球肘に悩まされたこと、骨折をしてリハビリを経験したことがきっかけでした。

リハビリを通して骨折からの回復はある程度板について来ましたが、スポーツ障害からのリハビリに関してはほぼ無力のままの自分に気づいたのです。

そんな中、出会ったのが「スポーツ医学検定」。

 

アスレティックトレーナーや、ストレングス&コンディショニングコーチなど。

スポーツの関わる資格はさまざまありますが、どれも数100万の費用と取得するまで数年間の期間がかかります。

一方、スポーツ医学検定は、

①検定の日程を確認→申し込み

②検定日まで公式テキストを参考に勉強

③検定会場にて受検→後日結果発表

という流れで、比較的費用(受検料3級:4,800円、2級:5,400円、1級:7,800円)と時間にしばられることなく、勉強しながら自身の知識を高めることができます。

 

スポーツ医学検定2級は意味がない?

スポーツ医学検定は意味がない?2級と1級を合格して感じるメリットなど
スポーツ医学検定2級の公式テキスト

1級と2級どちらを受検するか迷いましたが、1級は医師やスポーツの現場で実際働いているトレーナーなどが受検に向けて勉強しているのをSNSで目にします。

そこまでの自信はなかったので、ひとまず2級を受検することにしました。

 

スポーツ医学検定2級の内容

2級のテキストは3級と同じものとなっています。

内容は、

A章 スポーツの知識

 1 スポーツの基礎知識

B章 身体の知識

 1 運動器の基礎知識

 2 全身の基礎知識

 3 骨の知識

 4 筋肉の知識

C章 スポーツのケガの知識

 1 スポーツのケガ総論

 2 スポーツ現場での処置

 3 頭部

 4 顔面

 5 脊椎

 6 肩

 7 肘・手関節・手指

 8 股関節・骨盤

 9 膝

 10 下腿・足

 11 骨折

 12 疲労骨折

 13 肉離れ

D章 アスリハの知識

 1 アスレティックリハビリテーション総論

 2 アスリハの知識

 3 競技別のアスリハの知識

 4 テーピング・装具・サポーターの知識

E章 スポーツ医学全般の知識

 1 スポーツと栄養

 2 女性とスポーツ

 3 成長期のスポーツ

 4 障がい者とスポーツ

 5 中高年者とスポーツ

 6 スポーツと全身

 7 遠征・大会救護

 8 アンチ・ドーピング

と、多岐に渡ります。

最後のページの方には2級と3級それぞれ15問ずつ解説付きで練習問題が記載。

また、ページの下に一問一答と称して問題が記載してあります。

 

普段リハビリの仕事をしている身からすると、知らないケガや知識もありましたが、内容の深さは物足りなさを感じました。

テキストと練習問題を一通り読み終えると、正直「これは合格するなあ」と。

スポーツ医学検定は意味がない?2級と1級を合格して感じるメリットなど
スポーツ医学検定2級の合格証

テストでは分からない問題もありましたが、無事合格。

前述したように受検のため勉強する内容の深度が浅い印象で、普段の仕事やプライベートで役立つことはほぼありませんでした。

 

スポーツ医学検定1級は意味がない?

スポーツ医学検定は意味がない?2級と1級を合格して感じるメリットなど
スポーツ医学検定1級の公式テキスト

数年後、今度は思い切って1級を受講。

 

スポーツ医学検定1級の内容

スポーツ医学検定は意味がない?2級と1級を合格して感じるメリットなど
2級と1級の公式テキストの厚さの違い

2〜3級のテキストは200ページ弱ですが、1級は250ページ強と、厚みが多少違います。

内容は、

A章 身体の知識

 1 運動器

 2 全身

 3 上肢

 4 骨盤・下肢

 5 頭部・脊椎

B章 スポーツの外傷・障害の知識

 1 スポーツの外傷・障害総論

 2 現場での処置

 3 心肺蘇生

 4 頭部

  4-1 頭部外傷総論

  4-2 脳震盪

  4-3 急性硬膜下血腫

  4-4 その他(頭部)

 5 顔面

 6 頚椎

 7 腰椎

  7-1 腰椎分離症

  7-2 腰椎椎間板ヘルニア

  7-3 非特異性腰痛

 8 肩

  8-1 投球障害肩(成長期)

  8-2 投球障害肩(成人)

  8-3 肩関節脱臼

  8-4 肩鎖関節脱臼

  8-5 腱板損傷

 9 肘

  9-1 野球肘(成長期)

  9-2 野球肘(成人)

  9-3 上腕骨外側上顆炎

  9-4 肘関節脱臼

 10 手関節・手指

 11 股関節・骨盤

  11-1 大腿骨寛骨臼インピンジメント

  11-2 グロインペイン症候群

  11-3 骨盤裂離骨折

 12 膝

  12-1 前十字靭帯損傷

  12-2 半月板損傷

  12-3 後十字靭帯損傷

  12-4 内側側副靭帯損傷

  12-5 ジャンパー膝

  12-6 オスグッド・シュラッター病

  12-7 その他(膝)

 13 足部・足関節

 14 骨折

  14-1 一般の骨折

  14-2 疲労骨折

 15 肉離れ

C章 アスリハの知識

 1 アスレティックリハビリテーション総論

 2 部位(競技)別のアスリハ

 3 テーピング・装具・サポーター

D章 スポーツ医学全般の知識

 1 スポーツと栄養

 2 女性とスポーツ

 3 成長期のスポーツ

 4 障がい者とスポーツ

 5 中高年者とスポーツ

 6 スポーツと全身

 7 合宿・遠征・帯同

 8 アンチ・ドーピング

となっており、2〜3級のテキストとほぼ同じです。

 

しかしその中身の濃さが違います。

スポーツ医学検定は意味がない?2級と1級を合格して感じるメリットなど
2級と1級の公式テキストの内容の違い

例えば、同じ「前十字靭帯損傷」でも、

・2〜3級のテキスト:2ページに渡り浅い内容が記載

・1級のテキスト:3ページに渡り深い内容が記載

とページ数は単純に1.5倍ですが、中身の濃さはその10倍くらいの肌感覚があります。

個人的には「こういうの待ってた!」ので、勉強自体は大変でしたが充実していました。

 

スポーツ医学検定1級のテスト内容

テストはすべてマーク式です。

設問は全60問あり、問いに対しての答えを(1)〜(4)から選択します。

その中でも、

「適切なものを全て選びなさい」という設問が17問

ケーススタディという応用問題が10問

というやっかいな設問があります。

①は、適切なものが「1つだけなのか、はたまた2つ、それとも3つ、まさかの4つ!?」という悩ましさをもたらします。

②のケーススタディは登場人物の状態に合わせた解答が必要で、ここでもまさかの①の設問が多くあります。

要するに、テキストの中身をしっかりと理解しておく必要があると感じます。

 

スポーツ医学検定1級の合格ラインとメリット

スポーツ医学検定は意味がない?2級と1級を合格して感じるメリットなど
スポーツ医学検定1級の合格証

テストは、自己採点では78点。

合格ラインは約8割ということでしたので不安でしたが、無事合格できました。

 

今回勉強した知識は内容が濃く、普段の仕事やプライベートでも役立つと感じています。

それは、スポーツ分野で実績ある多くの医師やトレーナーが監修しているため、

・整形外科やスポーツ医学分野の標準的な用語や知識が身につく

・普段仕事で使っている知識の振り返りと深化ができる

というメリットを感じます。

また、子どもを育てている親として、

・成長期特有のスポーツ障害

・女性特有のスポーツ障害

といったことに対して知見が広がったことも、メリットだったと感じています。

 

おわりに

いかがでしたか?

冒頭に以下のような各級の目安がありましたが、

1級(マスター)身体やスポーツのケガの専門的な知識が問われます。
スポーツメディカルに関わる人はここを目指しましょう。
2級(アドバンス)身体やスポーツのケガのより詳しくより広い知識が問われます。
スポーツを指導する人はここを目指しましょう。
3級(ベーシック)身体やスポーツのケガの最も基本的な知識が問われます。
スポーツ医学に初めて触れる人は、ここから目指しましょう。

実際に2級と1級を受検して思うことは、「始めから1級を受検してもよかったな」ということです。

・スポーツに興味がある

・普段、療法士or柔道整復師orトレーナーとして働いている

・2級と1級どちらを受検するか迷っている

そんな方は、始めから1級の受検をおすすめします。

1級のテキストの中身は濃いですが、とても勉強になります。

 

最後に、「スポーツ医学検定は意味がない?」という問いに対して。

「意味があった」という答えを残して終わりたいと思います。

 

なおスポーツ医学検定についての詳細は公式サイトをご覧ください。

では。