後十字靭帯損傷の原因・症状・治療〜スポーツ医学検定より〜

多くのスポーツにおいて、膝は大きな役割を果たしています。

その分、怪我が多いのが実情です。

今回はその怪我の一つ、後十字靭帯損傷についてスポーツ医学検定公式テキストをもとにご紹介していきます。

後十字靭帯

後十字靭帯は前十字靭帯とともに膝関節内にある関節内靱帯で、前十字靭帯と十字を示すような位置で存在する。

 

後十字靭帯損傷の受傷機転

前十字靭帯の損傷機転は非接触型が多いのに対して、後十字靭帯損傷では脛骨の前面から衝撃が加わった際に受傷する接触型が多い。

交通事故などでの受傷も多いが、スポーツでは転倒時、膝から落下した際などに受傷することが多い。

 

後十字靭帯損傷の症状

受傷時膝後方に痛みがあり、関節内血腫を伴うことが多い。

後十字靭帯のみでなく、外側側副靭帯などの外側構成体も損傷した場合、膝関節の不安定感が残存しやすい。

 

後十字靭帯損傷の検査

後方引き出しテスト

後方引き出しテストでは脛骨の後方移動量が徒手的に感じられる。

確定診断はMRI検査が行われ、靭帯損傷が確認される。

後外側複合体が同時に損傷されることもあるのでdial(ダイアル)テストも行い確認する必要もある。

 

後十字靭帯損傷の治療

後十字靭帯が単独で損傷した場合、保存療法が選択されることが多い。

ただ受傷後は可動域が回復するまでに時間がかかることもあり、また動作時に膝後方の痛みが出ることがも多く、競技復帰までには時間がかかる。

大腿四頭筋の強化や後方のモビライゼーションが重要となる。

保存療法で改善せず、不安定感が残る場合は手術となる。

手術は関節鏡視下でのハムストリンス腱を用いた再建術が一般的であり、前十字靭帯の手術と同様、移植腱が成熟するのを待たなければいけないため、術後の復帰には少なくとも8ヶ月は必要となる。

 

おわりに

最後にまとめます。

後十字靭帯損傷の受傷機転

・前十字靭帯の損傷機転→非接触型が多い

・後十字靭帯損傷→接触型が多い(脛骨前面からの衝撃にて)

・交通事故、スポーツでは膝からの落下する転倒

後十字靭帯損傷の症状

・膝後方に痛み

・関節内血腫

・後十字靭帯+外側構成体(外側側副靭帯など)損傷

→膝関節の不安定感が残存

後十字靭帯損傷の検査

・後方引き出しテスト

・MRI検査→確定診断

・dial(ダイアル)テスト→後外側複合体の損傷も確認

後十字靭帯損傷の治療

・後十字靭帯の単独損傷→保存療法が多い

・可動域回復に時間を要す+動作時の膝後方の痛み

→競技復帰には時間を要す

→大腿四頭筋強化や後方のモビライゼーションが重要

・保存療法で改善(−)、不安定感(+)→手術

→ハムストリンス腱を用いた再建術が一般的

→移植腱の成熟が必要

→術後の復帰には少なくとも8ヶ月は必要

以上、

スポーツ医学検定 公式テキスト 1級 [ 一般社団法人日本スポーツ医学検定機構 ]

の「後十字靭帯損傷」からの引用でした。

なおスポーツ医学検定についての詳細は公式サイトをご覧ください。

読者の健康で楽しいスポーツの一助になれば幸いです。

では。