内側側副靭帯損傷の原因・症状・治療まで〜スポーツ医学検定より〜    

多くのスポーツにおいて、膝は大きな役割を果たしています。

その分、怪我が多いのが実情です。

サッカー日本代表としてカタールワールドカップで活躍した板倉滉選手や浅野拓磨選手も、大会直前に内側側副靭帯損傷を受傷しています。

今回はその内側側副靭帯損傷について、スポーツ医学検定公式テキストをもとにご紹介していきます。

内側側副靭帯について

内側側副靭帯は膝関節の内側に位置する幅の広い靭帯で、浅層、深層、後斜走繊維に分かれる。

主に膝関節にかかる外反の力に抵抗する靭帯である。

内側側副靭帯の深層は内側半月板に連続している。

内側側副靭帯損傷の受傷機転・症状・検査

スポーツ中の相手との接触は外側からが多いため、内反に抵抗する外側側副靭帯より損傷頻度は高い。

損傷程度は徒手的に判断され、圧痛はあるが不安定性の認めない1度、屈曲時だけ不安定性を認める2度、伸展・屈曲ともに不安定性を認める3度となる。

また損傷部位は圧痛点でも判断できるが、最終的にはMRI検査で判断する。

頻度が高いのは大腿骨付着部である内上顆での断裂である。

 

内側側副靭帯損傷の治療

内側側副靭帯は関節外靭帯のため血流も豊富で保存療法が第一選択である。

痛みや不安定性が軽度残ることもあるが、軽度の不安定性ではスポーツ活動に弊害が出ることは少ない。

大腿四頭筋と内側ハムストリングスのトレーニングが重要となる。

手術に関しては修復術と再建術がある。

内側側副靭帯損傷は大腿骨側付着部での損傷が多い。

脛骨側での剥離損傷では保存療法の成績が不良なため、修復術が急性期でも選択されることがある。

また関節内に損傷断端がまくれこんでいる場合も自然治癒が悪いため、手術が考慮される。

陳旧性で軽度の不安定性が残った症例では再建術が選択される。

 

おわりに

最後にまとめます。

内側側副靭帯損傷の受傷機転

・スポーツ中の外側からの相手との接触

→内反に抵抗する外側側副靭帯より損傷頻度は高い

内側側副靭帯損傷の症状

・損傷程度は徒手的に判断

→1度:圧痛はあるが不安定性(−)

→2度:屈曲時だけ不安定性(+)

→3度:伸展・屈曲ともに不安定性(+)

内側側副靭帯損傷の検査

・損傷部位は圧痛点で判断可能

・最終的にはMRI検査で判断

・頻度が高いのは大腿骨付着部である内上顆での断裂

内側側副靭帯損傷の治療

・内側側副靭帯は関節外靭帯(血流豊富)

→保存療法が第一選択

・痛みや不安定性は軽度

→スポーツ活動に弊害が出ることは少ない

・大腿四頭筋と内側ハムストリングスのトレーニングが重要

・手術は修復術or再建術

・大腿骨側での損傷が多い

→脛骨側での剥離損傷では保存療法は成績不良

→急性期でも修復術が選択されることあり

・関節内に損傷断端がまくれこんでいる

→自然治癒が悪い

→手術を考慮

・陳旧性で軽度の不安定性(+)→再建術を選択

以上、

スポーツ医学検定 公式テキスト 1級 [ 一般社団法人日本スポーツ医学検定機構 ]

の「内側側副靭帯」からの引用でした。

実際、板倉選手、浅野選手ともに9月に負傷しながら、保存療法にて11月のワールドカップには復帰しています。(参考記事はこちら

 

なおスポーツ医学検定についての詳細は公式サイトをご覧ください。

読者の方の健康で楽しいスポーツの一助になれば幸いです。

では。