オスグット・シュラッター病の原因、症状、治療、復帰〜スポーツ医学検定検定より〜

成長期の子どもの膝痛「オスグッド」。

「成長痛だからしょうがない」で片付けていませんか?

実は単なる成長痛ではありません。

スポーツ障害であり、運動量や身体の柔軟性・使い方に原因があります。

今回、スポーツ医学検定公式テキストをもとにオスグッド・シュラッター病についてご紹介します。

ぜひご一読ください。

オスグット・シュラッター病とは

オスグット・シュラッター病の原因、症状、治療、復帰〜スポーツ医学検定検定より〜

報告者の名前を取り、Osgood-Schlatter病と呼ばれるが、厳密には病気ではなく、スポーツ障害である。

ランニング、ジャンプ、キック動作の多いスポーツで発生しやすく、特に成長期の膝痛の原因として頻度が高い。

大腿四頭筋の柔軟性が低下した状態での運動負荷により、膝蓋腱の牽引力により腱が付着する脛骨粗面で骨端線(成長線)の微小な剥離を起こすことで痛みを生じる。

運動量の調整と大腿四頭筋ストレッチを含めたアスレチックリハビリテーションにより改善することが多いが、痛みが長引き再発する場合もある。

成長期が終了すると症状が軽減していくことが多い。

一度、脛骨粗面に隆起が生じると、痛みが改善しても隆起が残存することが多い。

 

オスグット・シュラッター病の受傷機転・予防

ランニングやジャンプ動作では膝の屈曲・伸展動作が繰り返し行われている。

膝の伸展は、大腿四頭筋の収縮が膝蓋骨を経由して膝蓋腱に伝わり脛骨を牽引することで生じる。

膝蓋腱の付着部である脛骨粗面は骨端線から続く軟骨であり、力学的には弱く、繰り返される膝の伸展動作により、骨端線の軟骨の一部が剥離を生じ、痛みが発生する。

成長期の選手の身体は、成人の身体の構造と異なるため、適切な運動量で競技の練習に取り組むことが重要である。

また、大腿四頭筋のタイトネスがあると脛骨粗面に加わる負荷も大きくなるため、よく大腿四頭筋のストレッチを行っておくことが大切である。

本人がスポーツ中に膝の痛みを自覚していなくても、脛骨粗面を押さえると痛みを感じることがある。

そのため、セルフチェックしておくことが望ましく、早期に発見しストレッチやアイシングなどのケアを徹底することが重要である。

 

オスグット・シュラッター病の症状・検査・診断

脛骨粗面に痛みの訴えや圧痛があり、時に腫脹や熱感がある。

経過が長くなると同部の隆起を認める。

成長期の男子に多く、特に身長の伸び始めや急激に伸びている時に発症しやすい。

この時期、骨の伸びるスピードに筋肉や腱の伸びるスピードが追い付かず、腱の緊張は強くなる。

成長期において、腱の付着部である脛骨粗面は軟骨だが、一生軟骨のままである関節軟骨とは異なり、成長とともに骨に置換される。

骨に置換されていく過程で、オスグット・シュラッター病の痛みも改善する傾向にあるが、剥離した軟骨の一部が小骨片として残存し、痛みを残すことがある。

成長が終了していない段階では、無理な運動を行うことは控えたい。

また、脛骨粗面の圧痛や、踵骨臀部間距離で測定する大腿四頭筋のタイトネスは、セルフチェックしておきたい項目である。

X線検査や超音波検査により、脛骨粗面の膨隆や不整像、骨端核の分離や小骨片を認める。

MRI検査が必要になることは通常ない。

 

オスグット・シュラッター病の治療・復帰の流れ

保存療法が基本である。

運動量の調整や一時的な運動中止により脛骨粗面への負荷を軽減する。

また局所のアイシングを行いながら、炎症を軽減する。

アスレチックリハビリテーションも大切であり、大腿四頭筋のストレッチのほか、アライメントを意識した下肢の使い方を習得させる。

コンディションが改善しない状態で競技復帰すると再発しやすい。

痛みの軽減に専用の膝サポーターが有効な場合もある。

痛みが改善すれば、軽い負荷から練習を開始し、段階的に負荷を上げる。

復帰後の再発予防のため、練習前のウォーミングアップ、ストレッチ、練習後のクールダウンを徹底したい。

剥離部の骨片が難治性の痛みを出す場合、摘出が必要となることもある。

オスグット・シュラッター病は「成長しているから痛む成長痛」ではなく、運動量や身体の柔軟性や使い方が原因となるスポーツ障害であることを十分認識したい。

成長速度、身体の使い方、タイトネスのある部位などは個人によって差があるため、個々に応じたリハビリテーションメニューを行うことが大切である。

 

おわりに

最後にまとめます。

オスグット・シュラッター病とは

・ランニング、ジャンプ、キック動作の多いスポーツで発生しやすい

・成長期の膝痛の原因として頻度高い

・成長期終了→症状軽減&脛骨粗面の隆起は残存することが多い

オスグット・シュラッター病の受傷機転

・膝の伸展のメカニズムは以下

①大腿四頭筋収縮

②膝蓋骨を経由して膝蓋腱(脛骨粗面に付着)へ

③脛骨を牽引

④膝伸展

・成長期の脛骨粗面は骨端線から続く軟骨

→力学的に弱い

・繰り返しのランニングやジャンプ動作

→繰り返しの膝の屈伸

→骨端線の軟骨の一部が剥離

→痛み発生

オスグット・シュラッター病の予防

・成長期の身体構造≠成人の身体構造

→適切な運動量の練習を行う

・大腿四頭筋ストレッチ

→大腿四頭筋の柔軟性向上→脛骨粗面に加わる負荷軽減

・セルフチェック

→スポーツ中の膝痛(−)でも脛骨粗面の圧痛(+)のことも

→早期発見&ストレッチやアイシングでケアを

オスグット・シュラッター病の症状

・脛骨粗面に痛みの訴えや圧痛、時に腫脹や熱感

・経過が長くなる→脛骨粗面に隆起

・成長期の男子に多い

・特に身長の伸び始めや急激に伸びている時に発症しやすい

→骨の伸びるスピード>筋肉や腱の伸びるスピード

→腱の緊張が増強

・成長期は軟骨である脛骨粗面も、成長とともに骨に置換

→痛みも改善する傾向

→剥離した軟骨の一部が小骨片として残存すると痛みを残すことも

また、脛骨粗面の圧痛や、踵骨臀部間距離で測定する大腿四頭筋のタイトネスは、セルフチェックしておきたい項目である。

X線検査や超音波検査により、脛骨粗面の膨隆や不整像、骨端核の分離や小骨片を認める。

MRI検査が必要になることは通常ない。

オスグット・シュラッター病の検査・診断

・脛骨粗面の圧痛

・踵骨臀部間距離→大腿四頭筋のタイトネス

・X線検査や超音波検査→脛骨粗面の膨隆や不整像、骨端核の分離や小骨片

・MRI検査は通常は必要ない

オスグット・シュラッター病の治療

・オスグット・シュラッター病

→「成長しているから痛む成長痛」という認識✕

→運動量や身体の柔軟性や使い方が原因となるスポーツ障害

・基本は保存療法

→運動量の調整や一時的な運動中止

→脛骨粗面への負荷軽減&局所のアイシングにて炎症軽減

・剥離部の骨片による難治性の痛み→摘出が必要となることも

・コンディションが改善しない状態で競技復帰→再発しやすい

・成長速度、身体の使い方、タイトネスのある部位などは個人差(+)

→個々に応じたリハビリメニューを行うことが大切

オスグット・シュラッター病の復帰の流れ

・アスレチックリハビリが大切

→大腿四頭筋ストレッチ、アライメントを意識した下肢の使い方を習得

・痛み軽減に専用の膝サポーターが有効な場合も

・痛みが改善→軽負荷から練習&段階的に負荷アップ

・再発予防→練習前のウォーミングアップ、ストレッチ、練習後のクールダウン

以上、

スポーツ医学検定 公式テキスト 1級 [ 一般社団法人日本スポーツ医学検定機構 ]

の「オスグット・シュラッター病」からの引用でした。

なおスポーツ医学検定についての詳細は公式サイトをご覧ください。

読者の健康で楽しいスポーツの一助になれば幸いです。

では。