腱板損傷の原因・予防・症状・治療について|スポーツ医学検定より

頭の上まで手を挙げるスポーツをオーバーヘッドスポーツと呼びます。

手を挙げ、そのパワーを競技に活かすため、肩の多用は避けれれません。

その動作で大きな役割を果たしているのが腱板。

その分、腱板由来の肩の痛みが出ることも。

今回はスポーツ医学検定1級公式テキストから、その原因である腱板損傷について述べていきます。

腱板とは

腱板とは肩関節の最も深くにある、肩甲骨と上腕骨に停止する4つのインナーマッスル(肩甲下筋・棘上筋・棘下筋・小円筋)の上腕骨側の腱の総称である。

4つの腱は連続しており、上腕骨全体を上から包むような形をしている。

インナーマッスルは肩の運動と安定性に重要な役割を果たす。

 

腱板損傷の受傷機転

腱板損傷の受傷機転、原因はフォロースルー

これらが損傷する原因は、

①野球やバドミントンなどの繰り返す投球動作(フォロースルーでの減速動作時に筋に遠心性収縮がかかることによる)

②バレーボールのダイビングレシーブやスノーボードでの転倒などによる外傷

③最も多い加齢による腱の変性による損傷

が挙げられる。

水泳・剣道・バドミントンなどの競技者は一般よりも約10年早期の40〜50歳代に進行することが多い。

加齢に伴い増加する腱板断裂では無症状のことも多い。

 

腱板損傷の予防

腱板損傷の予防

①の予防では、肩甲帯機能を改善し、腱板に過剰なストレスが集中しないような減速動作を心掛ける。

肩峰下での機械的インピンジメントを予防するために、肩甲帯柔軟性の維持と単一の練習を過剰に行わないことが重要である。

 

腱板損傷の症状・検査

腱板損傷は投球コッキング期〜加速期に肩の奥に痛みを自覚

損傷は腱板関節面に生じやすく、投球コッキング期〜加速期に肩の奥に痛みを自覚する。

腱板滑液包面の損傷が起こりやすい②③では肩90°外転位付近で肩外側に痛みを自覚する。

検査は比較的発見の困難な関節面部分でも超音波検査、MRI検査で診断できる。

 

腱板損傷の治療

損傷した腱板自体は自然治癒することはないが、リハビリテーションやヒアルロン酸やステロイドの注射などの保存療法により機械的刺激と炎症が改善すると痛みは軽減・消失する。

腱板関節面の損傷は投球動作に伴った適応変化とも解釈されうるので、筋力などの腱板機能が保たれている投球側肩は経過を観察する。

しかし、損傷が大きく筋力が維持できない例や症状の緩和が一時的である場合は年齢も考慮して手術を選択する。

腱板を修復する手術は関節鏡手術で行われる。

術後スポーツ復帰には非利き手でも4ヶ月、利き手では6ヶ月間は必要とする。

修復するのが不可能な広範囲断裂では、大腿筋膜などを用いたパッチ法が選択される。

 

おわりに

最後にまとめます。

腱板とは

・肩関節の最も深くにある、肩甲骨と上腕骨に停止するインナーマッスルの上腕骨側の腱の総称

・そのインナーマッスルは肩甲下筋・棘上筋・棘下筋・小円筋の4つ

・4つの腱は連続し、上腕骨全体を上から包むような形状

・インナーマッスルは肩の運動と安定性に重要な役割を果たす

腱板損傷の受傷機転

①野球やバドミントンなどの繰り返すフォロースルー動作

→減速動作時に筋にかかる遠心性収縮が要因

②バレーボールのダイビングレシーブやスノーボードでの転倒などによる外傷

③加齢による腱の変性による損傷(最多)

・水泳・剣道・バドミントンなどの競技者は一般よりも約10年早期の40〜50歳代に進行することが多い

→加齢による腱板断裂では無症状のことも

腱板損傷の予防

・①の予防としては肩甲帯機能の改善&過剰なストレスが集中しない減速動作習得

→肩甲帯柔軟性の維持と単一の練習を過剰に行わない

→肩峰下での機械的インピンジメントの予防

腱板損傷の症状・検査

・損傷は腱板関節面に生じやすい

→投球コッキング期〜加速期に肩の奥に痛みを自覚

・②③は腱板滑液包面の損傷が起こりやすい

→肩90°外転位付近で肩外側に痛みを自覚

・検査:超音波検査、MRI検査

→比較的発見の困難な関節面部分でも診断可能

腱板損傷の治療

・損傷した腱板自体は自然治癒することはない

・リハビリやヒアルロン酸やステロイドの注射などの保存療法

→機械的刺激と炎症が改善すると痛みは軽減・消失

・腱板関節面の損傷は投球動作に伴った適応変化とも解釈されうる

→筋力などの腱板機能が保たれている投球側肩は経過を観察する

→損傷が大きく筋力が維持できない例や症状の緩和が一時的である場合は年齢も考慮して手術を選択

・腱板を修復する手術は関節鏡手術

・修復するのが不可能な広範囲断裂

→大腿筋膜などを用いたパッチ法が選択

・術後スポーツ復帰には非利き手でも4ヶ月、利き手では6ヶ月間は要する

以上、スポーツ医学検定 公式テキスト 1級 [ 一般社団法人日本スポーツ医学検定機構 ]

の「腱板損傷」からの引用でした。

なおスポーツ医学検定についての詳細は公式サイトをご覧ください。

 

画像で登場している予防のためのフォームについて気になる方はこちらをどうぞ。

大人の野球の肩の痛みについてはこちら。

子どもの野球の肩の痛みはこちら。

読者の親子で健康で楽しいスポーツの一助になれば幸いです。

では。