【ウォーキングする前に】胸椎を動かして肩こりとサヨナラしよう

健康やダイエットのためにウォーキング。

そんな方は多いと思います。

しかし、それと同時に肩こりに悩む方も多いはず。

肩こりといっても、症状や場所、程度は人それぞれです。

皆さんに共通しているのは、「不快なこの肩こりを何とかしたい!」ということ。

痛みがある中で、ウォーキングをしても快適でないばかりか、効果が期待できない可能性もあります。

今回は、肩こりの原因から、その解決方法をご説明していきます。

肩こり解決のポイントは胸椎という背骨。

ぜひご一読下さい。

 

肩こりの原因

肩こり

肩こりの原因ですが、

・長時間の同一姿勢(猫背や前かがみ)

・運動不足

・体の冷え

・ストレス

・ストレートネック

などが一般的には挙げられています。

基本的には血流が悪くなり、その場所で痛みを誘発する物質がたまった結果、肩こりが起こると言われています。

肩こりに関係する筋肉は、肩甲骨まわりの筋肉である僧帽筋などが挙げられています。

その他、斜角筋という筋肉が固くなっていることも分かってきています。

 

まずは、ヒトの血流、体液の循環の仕組みを知ろう

血液の循環が悪いと肩こりに

人の身体は、血液によって生きていくために必要な酸素や栄養が、細胞の集合体である組織に運ばれます。

また、組織内での代謝の結果、不要になった二酸化炭素も血液を介して運ばれ、肺で排出されます。

酸素や栄養を豊富に含んだ血液を細胞に送る道を動脈、逆に細胞から二酸化炭素や老廃物を含んだ道を静脈と言います。

心臓の拍動によって動脈内を血液が送り出されますが、静脈では筋肉の収縮によって血管が圧縮されるポンプ作用で血液が心臓へ戻されます。

ちなみに静脈には弁がついているため、血流は逆流しないようになっています。

 

長時間の同一姿勢(猫背や前かがみ)による肩こり

「長時間の同一姿勢(猫背や前かがみ)」によって起こる肩こりは、日常的に肩まわりの筋肉に負担が来ている状態です。

猫背や前かがみでは、背部の肩まわりの筋肉が引き伸ばされている

猫背の肩こり

筋肉は基本的に伸び縮みするゴムやバネのようなもので、その張力(伸び縮みする力)を発揮するための適切な長さがあります。

ゴムに例えるなら、ずっと引き伸ばされた状態のゴムは負担が常にかかっており、通常より短い期間で劣化が進むイメージです。

猫背や前かがみといった姿勢は、前面の筋肉は縮こまっているのに対し、背面の筋肉は引き伸ばされています。

猫背や前かがみといった姿勢は、肩まわりの背部の筋肉が適切な距離ではなく、負担が来やすい状態と言えます。

 

猫背や前かがみで作業をする際は、土台として一定の緊張をしている肩まわり

猫背の肩こり

そうした姿勢で作業をするときは、肩まわりの筋肉は伸び縮みせずに一定の緊張が続いている状態です。

パソコンやスマホ作業を例にして考えてみます。

指先で作業しているときは、動いているのは指や手です。

しかし、その動きを土台として担保しているのは、肩からより身体に近い部位であり、細かな指先の作業を担保するためにそうした場所は一定の緊張が続いています。

 

また、目の位置も固定する必要がありますので、目がついている頭部が動かないようにその土台である首から肩まわりの筋肉は、伸び縮みせず一定の緊張が続きます。

そうすると、二酸化炭素や老廃物を含んだ静脈の血液は、本来は筋肉の収縮によって血管が圧縮され流れていきますが、そうした一定の緊張が続く筋肉は伸び縮みしないため、血液はよどんだ状態です。

結果、肩まわりの特に背部の筋肉が疲労し、固くなります。

固くなり、血流が悪くなると、痛みを誘発する物質がたまりますので、肩こりが起こります。

 

運動不足による肩こり

運動不足も、同一姿勢と同じような筋肉の伸び縮みの頻度が少なく、肩まわりに痛みを誘発する物質がたまっている可能性があります。

また、運動不足により筋肉が衰え、伸び縮みのポンプ作用が効きにくくなり、血流がよどみ、痛みを誘発する物質がたまりやすいのかもしれません。

 

体の冷えによる肩こり

体の冷えと肩こり

体の冷えについてですが、まず体温について考えてみましょう。

代謝によって外気の影響を受けないよう一定の体温を保つ

冬と夏の気温は大きく異なるように、季節によって外気温は大きく変動しています。

その中で、外気が体温より低くても、一定の体温を維持しています。

それは、食事で摂取した栄養や、体内に保存した栄養源を燃やし、生命維持や活動のためのエネルギーを産出する仕組みの中で熱が産出されることで担保されています。

そうした仕組みを代謝と呼びますが、代謝は主に、体を動かしていなくても生体維持のために消費される「基礎代謝」と、運動や活動時に消費される「運動代謝」の2つに分けられます。

 

基礎代謝を支えている筋肉

肩こりと冷えの関係は筋肉が影響

それらの代謝を主に支えているのは、筋肉です。

運動不足で筋肉量が減ると基礎代謝が低下し、外気に対して体温を一定に保つ能力が落ちていると言えます。

また、運動や活動を行って筋肉を使うと、運動代謝によって筋肉から熱が産出されます。

結局、体の冷えによって起こる肩こりは、運動不足が原因にベースにあり、伸び縮みのポンプ作用が効きにくく、血流がよどみ、痛みを誘発する物質がたまっている状態と言えます。

 

ストレスによる肩こり

ストレスと肩こり

最後にストレスについてですが、ヒトはストレスを感じると自律神経の交感神経が優位になります。

結果的に心臓や肺を活発に働かせ、ドキドキした状態にさせます。

その心臓や肺を活発にさせる交感神経は、首の付け根あたりの背骨(上位胸椎)から心臓や肺へ出ています。

その経路が活発に活動すると、その周辺の筋肉も影響を受け固くなりやすく、肩こりが起こることがあります。

実は後述するストレートネックも、こうした胸椎の影響で起きていることが多いと言われています。

 

ストレートネック

スマホ首 ストレートネック

最近、よく耳にするようになったストレートネック。

スマホ首とも呼ばれています。

頭を支える首の骨である頸椎がまっすぐになっているため、ストレートネックと言われています。

 

本来は首の骨は前にカーブしている

本来頸椎は、S字カーブを描く背骨の一部であり、前にカーブした前弯という状態になっています。

ヒトが地球で暮らしていく以上避けられないのが、重力。

その重力がかかる環境のもと、ヒトは背骨にカーブを描くことで、

・頭を含め身体を支える機能

・歩行など身体活動で地面と接する際に伴う衝撃の吸収機能と反発機能

を進化していく上で獲得してきました。

 

スマホの見過ぎや、ストレスで背骨のカーブがまっすぐに変形

ストレートネックと正常な頸椎

前述したように、ストレスがかかるとドキドキし、呼吸が浅く速くなり、心臓や肺の活動が活発になります。

心臓や肺は、胸椎の上の方から交感神経という神経を介して内臓に送られています。

その神経の興奮は、同じく胸椎から神経を介して脳や脊髄と連絡している筋肉へも影響します。

それらの筋肉は、

・腹筋

・肋骨をつなぐ筋肉

・背筋

などです。

日常的にストレスにさらされ続けていると、それらの筋肉が固くなり、胸椎自体も固くなります。

そうすると本来、後ろへカーブしている胸椎ですが、そのカーブがなくなり、まっすぐになります。

 

頸椎にとって、胸椎は土台です。

その胸椎がまっすぐなってしまうと、重い頭を支える頸椎が前にカーブのままでは、身体に対して頭が後方に位置することになり、うまくバランスが取れません。

結果的にバランスをとるとために、頸椎は本来の前のカーブを捨て、ストレートネックになってしまいます。

 

そうしたバランスをとるために、肩まわり、首まわりの筋肉は固くなり、肩こりを発生させます。

そして、そのS字カーブを失った姿勢は、本来、

・頭を含め身体を支える機能

・歩行など身体活動で地面と接する際に伴う衝撃の吸収機能と反発機能

という役割を果たすことができず、スポーツや運動、日常生活活動における衝撃を逃がすことができず、年々蓄積されます。

年をとるとともに、様々な障害やケガにつながっていきます…。

 

ストレスで胸まわりが固くなると、呼吸にも影響する悪循環

ちなみに、普段の呼吸は横隔膜しか筋肉を使いません。

しかし、運動してハアハアと呼吸したり、深呼吸をしたりしたときは、肺を取り囲む胸郭という場所をとりまく、首まわりの筋肉や胸まわりの筋肉、腹筋を使います。

前述したように、ストレスにさらされ続けると、腹筋や背筋、肋骨をつなぐ筋肉は固くなります。

すると、深い呼吸がしにくく、酸素と二酸化炭素の交換効率が悪い身体になります。

結果的に、

・体力が落ち、運動や活動量が減り、筋肉の伸び縮みが少なく、循環不全で肩がこる

・交感神経から副交感神経に切り替えられる深呼吸が行えず、ますます腹筋や背筋、肋骨をつなぐ筋肉固くなる

といった悪循環におちいります。

 

肩こりの対処方法

肩こり解消の方法

肩こりのメカニズムが分かったところで、スマホやパソコンをさわらない、ストレスにさらされない、といったことは現実的ではない、という方がほとんどではないでしょうか。

ではどうすればよいのでしょうか?

 

固くなった胸椎を動かし、柔らかくしよう

とりあえず胸椎を動かしてみましょう。

背骨は、基本的に「曲がる・伸びる」「左右にそる」「ねじる」という動きを作っています。

その中でも、胸椎はねじる動きが大きい場所です。

その動きは筋肉が伸び縮みして、作っている訳です。

つまり、胸椎を大きくねじる動きをすれば、まわりの筋肉は伸び縮みをして、血流がよくなり、肩こりが楽になる可能性があります。

 

簡単に効果的に胸椎を動かすおすすめエクササイズ

肩こりに効果的な簡単エクササイズ
肩こりに効果的な簡単エクササイズ
肩こりに効果的な簡単エクササイズ

筆者も行っている、簡単で効果的なおすすめな方法は、

①横向きに寝る

②両手を合わせる

③上の手を背中側に回していく

④その手を目で追う

⑤止まる、または痛みを感じそうな場所でストップ

⑥深呼吸を3回程度繰り返す

⑦手をもとの位置に戻す

⑧もう一度手を回し深呼吸までを数回繰り返す

⑨左右の向きを変え、①~⑨を反対の手でもう一度

というものです。

 

ポイントは、手の動きとともに上半身がねじれ、下半身もついて行きそうになりますが、そこを無理しない範囲で腰はそのままにすることです。

そして、深呼吸を入れることで、

・交感神経から副交感神経が優位になり、心身がリラックスして筋肉がゆるみ、ストレッチしやすい

・伸びてストレッチが効いた筋肉が、深呼吸を通してそこからさらに伸び縮みをする

という効果が期待できます。

手が背部にまわる範囲が徐々に広がるのが実感できるはずです。

 

その後、キャット&ドッグで背骨の屈伸を行うのも良いですし、一般的な肩甲骨を動かす体操をするとより効果的です。

キャットアンドドッグ

個人的には、下の関連記事のエクササイズをするのが一番楽で効果的だと感じています。

 

背骨を柔らかくして、痛みや身体が軽くなったら運動を

肩こりの原因でも述べましたが、運動不足も肩こりの要因の一つです。

だからといって運動をすぐに始めるのはおすすめできません。

 

運動を始める前に、まずは身体のメンテナンスをしましょう。

ヒトは痛みがある中で運動を行うと、痛みがある場所の関節や筋肉を使うのを本能的に避けます。

結果、そのまわりの関節に負担が来るため、痛みがある場所が良くならないばかりか、そのまわりの関節や筋肉を傷めてしまうおそれがあります。

痛みがなく柔軟な身体になれば、運動を行うときは自然とよい姿勢になり、効果的な運動を行えることが神経の仕組み的に分かっています。

 

あなたの筋力にあった運動を見つけ、肩こりしにくい身体つくりを

そして、次にどんな運動が自身の身体にあっているのかを知る必要があります。

そのための大切な指標の一つとして、皆さんよく知られる筋力というものがあります。

しかし、ご自身の筋力がどの程度なのか分かっているという方は少ないのではないでしょうか?

下の記事で、簡単に自身の筋力とその筋力にあった運動をご説明していますので、ぜひ参考にされてみて下さい。

ウォーキングとランニング

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

単に肩こりと言っても、その現象のメカニズムは複雑です。

今回述べた内容も数年後には、科学が進んで誤りになっているかもしれません。

しかし、一つ言えることは、ご紹介した簡単なエクササイズを行うと、不思議と肩こりが楽になるという事実があるということです。

個人的には、メカニズムはどうでもよくて、肩こりなど痛みに悩んでいる方や、痛みがあるのに無理をして運動をして苦しい思いをされている方が一人でも少なくなればいいなあ、という想いだけです。

ぜひ一度、ダマされたと思って、エクササイズを行ってみて下さい。

足首やふくらはぎの痛みに悩んでいる方はこちらの記事もどうぞ。

今回の記事が皆さんのカラダを整え、豊かな暮らしの一助になれば幸いです。

では。