最近、何かと世間の話題になるうつ病。

妻が妊娠中なんだけど「産後うつ」が気になる…

新型コロナウイルスの影響でうつ病になっちゃう人もいるとも聞くわ…
厚生労働省の資料によると、
「うつ病は、高血圧や糖尿病と同じで誰しもがかかる可能性がある病気」で、
「2人に1人は過去1か月にストレスを感じ、生涯を通じ5人に1人は精神疾患にかかる」
と言われています。
今回はそのうつ病の発症を説明する標準的な理論である「ストレス脆弱性モデル」について、説明します。

ストレス脆弱性モデル…??難しそう…

大丈夫です!
とてもシンプルで分かりやすい理論です。
厚生労働省でも紹介されており、世界的にも標準的な理論で信頼性も高いです。
ポイントは以下です。
- ストレスに耐えるための着ている鎧(よろい)はヒトそれぞれ違う
- そのヒトを取り巻く環境やイベントも人それぞれ違う
- その環境やイベントから受けるストレスの程度もヒトによって違う
- 自分のストレスに対する鎧、自身を取り巻く環境や人生の状況を知り、早めに対処しよう
2分ほどで、うつ病予防が出来る内容にしていますので、ぜひご一読を。
うつ病と「ストレス」

ヒトは、ストレスがかかるとうつ病になることがある、ということは周知されていると思います。
ストレスがかかる人生のイベントとして、
- 配偶者や親族、友人の死、子どもの出生、妊娠
- 離婚、別居、単身赴任、夫婦げんか、結婚
- 自身や家族の健康上の問題、多忙による心身の疲労
- 倒産、転職、仕事のミス、人事異動、昇進・昇格
- 人間関係、社会活動の変化、引っ越し
- 借金、住宅ローン、収入の減少・増加
など、一般的に悪いことから良いことまで、様々なイベントが挙げられています。
これらのことが一度に降りかかったとき、ヒトは多くのストレスにさらされ、うつ病になる可能性が高まると言えます。
しかし、同じストレスとなるイベントが起きても、必ずしもすべてのヒトがうつ病になるという訳ではありません。
例えば、地震で被災し、心労や不幸が重なるというツラいイベントが起きたとします。
一般的にうつ病になってしまう方は増えますが、その地域すべてのヒトがうつ病になる訳ではありません。
ではなぜ、そうした同じストレスとなるイベントが起きても、うつ病になるヒトとならないヒトがいるのでしょうか?
「脆弱性」とはストレスに対する鎧(よろい)のもろさ

その疑問解決のポイントとなるのが、ストレス脆弱性モデルの「脆弱性」の理解です。
「脆弱性」≒「もろさ」とも言われます。
イメージとしては、ストレスに対し自身を守る鎧(よろい)のもろさ。
鎧(よろい)のもろさを生み出す要因
ヒトは、人それぞれ違いますよね。
その違いを生み出しているのは、「カラダの構造・機能」「性格・信念・考え方」「遺伝」などです。
それぞれの違いにより、見た目や性格の違いが生まれ、ヒトそれぞれ個性がある訳です。
しかし、それはつまりストレスに対する防御力も違うということが言えます。
ヒトは生来、気付かないうちにストレスに耐えるための鎧(よろい)を着ています。
その鎧のもろさもヒトそれぞれ。
以下は、それぞれの「もろさ」の違いを生む要因についてです。
カラダの構造・機能
例えば、筋肉質なお父さんとそうでないお父さんがいて、それぞれ双子の子どもを授かったとします。
すると、筋肉質なお父さんより、そうでないお父さんの方が、子ども二人を抱っこしたり、一緒に遊んで面倒をみるには苦労が伴い、ストレスへの「もろさ」が増大すると考えられます。
一方、同じような体形のお母さんが二人いたとして、一人は生まれつき心臓の機能に問題があり、もう一人は問題ないとします。
すると、生まれつき心臓の機能に問題があるお母さんの方が子育てに適応するには苦労が伴い、ストレスへの「もろさ」が増大すると考えられます。
性格・信念・考え方
例えば、結婚して義理の両親と同居したとします。
物事を深く考え込む性格のパートナーと、そうでない性格のパートナーがいたとします。
物事を深く考え込む性格のパートナーの方が同居に適応するには苦労が伴い、ストレスへの「もろさ」が増大すると考えられますよね。
遺伝
遺伝子レベルでの異常や変異などによって、ストレスに対するもろさを増大させることがあると言われています。
また、うつ病の親がいた場合、その子どもはうつ病になる確率が高いという疫学的な事実もあるようです。
鎧(よろい)のもろさはヒトそれぞれ

上記の「カラダの構造・機能」「性格・信念・考え方」「遺伝」といった違いから、ストレスに対する鎧(よろい)の「もろさ」はヒトそれぞれ違います。
ドラクエで言うならば、
- 防御力の低い「布の服」しか着ていないヒト
- 標準的な防御力「皮のよろい」を着ているヒト
- 防御力の高い「鉄のよろい」を着ているヒト
がいるのです。
そして自分が何の鎧を着ているのかは、なかなか分からないものです。
なおかつ、その鎧を強化することこともなかなか出来ることではありません。
そもそも自身がどんな鎧を着ているかが分かりにくいのですから。
対処法は?
では、自身の着ている鎧がはっきり分からず、なかなか変えられない中でどうすれば良いのでしょうか。
鎧(よろい)を取り巻く環境を分析する

自身の鎧を取り巻くまわりの環境に目を向けてみましょう。
始めの方で挙げたように、ヒトは人生のイベントによってストレスにさらされます。
例えば子どもの妊娠や出生というイベントを経験したとしたとします。
育児の協力が期待できる実家が近くにある環境にあるAさんと、実家が遠くそうでない環境にあるBさんがいたとします。
その場合はAさんの方がBさんに比べ、同じ妊娠や出生というイベントから受けるストレスは軽いはずです。
そのようにご自身を取り巻く環境によって、同じイベントでもさらされるストレスは違うはずです。
また、昨今は新型コロナウイルスによる社会情勢の変化が著しくなっています。
在宅ワークの推進や新しい生活様式の提唱など、ヒトを取り巻く環境の変化が短期間で起きています。
今ご自身はどんな環境のもと、どんな人生のイベントが起きていますか?
ご自身の鎧がどれだけストレスにさらされているのか、今一度振り返ってみましょう。
鎧(よろい)のもろさに対して大丈夫な環境か?

その上で、ご自身の鎧はそのストレスとなる環境やイベントに耐えられるのか考えてみましょう。
事前に予測できるイベントに関しては、前もって準備をすることである程度対処ができると思われます。
- ・産後、育児をするにはカラダがきつい間は、旦那さんの理解を深めてもらいサポートしてもらうことやサポートが期待できる実家に里帰りをする
- ・夫婦間で保険など将来のことについてコミュニケーションを密にとり、対策をしておく
- ・妊娠中や産後のホルモンバランスの乱れに備え、病院に相談の上、サプリメントを飲む
- ・普段からカラダのメンテナンスをしておく
- ・両親の問題などは事前に人生会議をしておき、ACP(アドバンスケアプランニング)を決めておく
- ・家庭の事情を、面談などで上司に相談しておき配慮を求める
- ・転職する
- ・天災に備え、事前準備をしておく
など、まわりを取り巻く環境の中で優先度を決め、一つずつでも対処し環境を整えておくことで精神衛生はずいぶん良くなるはずです。
おわりに
いかがでしたか?
最後にポイントを以下にまとめます。
- ストレスに耐えるための着ている鎧(よろい)はヒトそれぞれ違う
- そのヒトを取り巻く環境やイベントも人それぞれ違う
- その環境やイベントから受けるストレスの程度もヒトによって違う
- 自分のストレスに対する鎧、自身を取り巻く環境や人生の状況を知り、早めに対処しよう
ちなみにココロの不調は自律神経の乱れにつながり、背骨のまわりを固くさせます。
背骨が固いと、カラダのパフォーマンスは確実に下がります。
それらのメカニズムや対処法は以下の記事で述べています。
記事を読んで心当たりのある方は気になる方は以下をどうぞ。
ココロとカラダの対処をしながら、豊かな子育て生活を送りましょう!
では。
ストレス脆弱性モデルの説明については、以下の厚生労働省の以下のサイトなどを参考にしました。
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/04/dl/s0411-7i.pdf
最近、うつ病になる人が増えてるというニュースで耳にするわ…