子育てに自己効力感を使うポイントと実例

自己効力感と報酬期待感の掛け合わせを考えることで、お子さんの行動は変わる。

そんなお話しを前回の記事(褒める子育て!子どもの成功体験につながる心理学の「自己効力感」)でお伝えしました。

とあるお母さん

自己効力感についてちょっと理解できたけど、実際使うの難しそう…

にぎり飯

ですよね。

今回も心理学などをベースにリハビリを提供する作業療法士である私が、

自己効力感を上手に使うポイントを実例を交えてお話しします。

この記事を読むメリット
  • 自己効力感を子育てに活かすイメージが深まる
  • 子どもの「出来た!」「楽しい!」が引き出せる!
  • 親子で喜びあえる豊かな子育てができる

3分程で、子どもに自己効力感を使う上でのポイントの理解が出来ますので、ぜひご一読下さい。

 

親と子の興味を深掘り

まずは「親がして欲しいこと」と「子どもの好きなこと」について考えていきます。

 

「子どもの好き」を深掘り

お子さんの好きなことを深掘りします。

例えば、仮面ライダーが好きだとしたら仮面ライダーのどんなところが好きなんでしょうか?

・強くて悪者を倒すところ

・キックする様子がカッコよくて好き

・髪型が好き などなど

理由は子どもによって様々だと思います。

 

戦隊シリーズが好きなら何色が好きなんでしょうか?

プリキュアが好きならどうでしょう?

ここでいかに深掘りできるかが、後々とても重要になってきます。

 

「親がして欲しいこと」の深掘り

次に、親がして欲しいこと」について深掘りすることです。

「親がして欲しいこと」はどんな動き・思考・環境が構成しているのでしょうか?

 

例えばサッカーをして欲しい方ならば、

「ボールを蹴る」「走る」「ルールを覚える」「周りをみる」「周りに声をかける」など様々な動き・思考の要素のうえに成り立っています。

 

「ボールを蹴る」にしても、

・ボールが向かってくるタイミングに合わせて、足を出す

・動くボールに合わせてカラダの位置を変える

・蹴る際に片足で立てる

・ボールを蹴る際に足首を固めることが出来る

と、挙げるとキリがないですね。

しかし、ここでいかに「して欲しいこと」について深掘りできるかも、とても重要です。

 

深掘りを段階づけて、難かしさを調整

そしてその深掘りを利用し、「親のしてほしいこと」に対する子どもの「自己効力感」と「報酬期待」を調整します。

やった先にある結果のイメージを「失敗しそう…」から「出来そう!」へ。

同じく、やった先にある結果のイメージを「つまらない…」から「楽しい…」へ。

段階づけて、難しさを調整した「親のしてほしいこと」の提供によって、子どもに「楽しい!」「できた!」という達成感ある成功体験をしてもらうのです。

 

実例① サッカーをしてもらいたいお父さんと興味のない子ども

ここで、サッカーをしてもらいたいお父さんと、サッカーに興味がない子がいたとします。

サッカーボールを転がして蹴らせようとしても全然のってこない我が子。

 

仮面ライダーとボールを深掘りしたお父さんA

そこで、

お父さんA
  • 仮面ライダーが好きで、よくライダーキックで遊んでいるなあ…
  • うちにあるサッカーボールは大人用だなあ…
  • ボールがちょっと子どもが蹴るには重いかも…

と深掘りしたとします。

 

難しさ調整 ~ライダーキックを活用~

今までの経験で、

Aくんは蹴ってもボールが重くて「上手く転がらない」「足が痛い」

ネガティブな報酬期待

ボールを蹴っても上手く出来ないと自己効力感が低い

となっているのかもしれません。

そこで、仮面ライダーごっこをしながら、ボールを敵に見立ててサッカーボールを転がして、ライダーキックを促せば「ボールを蹴る」ことへの自己効力感を高めることが出来るかもしれません。

お父さんA

仮面ライダーごっこするぞ~!

仮面ライダーめ!くらえ、ゴロゴロ~!ゴロゴロ~!(ボールを転がす)

Aくん

(転がるボールを蹴って)ライダーキィッ~ク!!

お父さんA

仮面ライダー強い~!もひとつゴロゴロ~!

(…しめしめ)

 

難しさ調整 ~軽いサッカーボールを用意~

他に、蹴っても痛くなく、遠くへ飛んでいくような軽いボールを準備することで、Aくんの「ボールを蹴る」報酬期待感をポジティブに出来るかもしれません。

Aくん

(軽いから蹴ったら遠くに飛んでいきそう…キック!)

「痛くない!楽しい!」

お父さんA

すごい!ボール蹴るの上手じゃん!もう一回みせて!

(…しめしめ)

 

子どもの蹴る動きとその他の興味を深掘りしたお父さんB

お父さんB
  • 公園で遊具で遊ぶのが好きだなあ
  • 「ボールを蹴る」のは苦手で体がグラグラしているなあ
  • 「ボールを蹴る」動きは足・体の力やバランスが必要だよなあ
  • すべり台の階段上りやブランコ遊びは足や体を鍛えられるんじゃないかなあ

と深掘りしたとします。

遊具で遊ぶことによって「できた」「楽しい」経験があり、遊具で遊ぶことによる自己効力感や報酬期待感は高いです。

 

一方、ボールを蹴ることに関しては、

蹴ってもカラダがグラついて「上手く転がらない」「楽しくない」

ネガティブな報酬期待

ボールを蹴っても上手く出来ない自己効力感が低い

と分析しています。

 

難しさ調整 ~好きな遊具遊びで蹴る際のぐらつきを減らす~

そこで、体のグラつき筋力やバランスの問題で、遊具遊びによってそれらを解決できるのではと深掘りしています。

確かにすべり台の階段上りは自身の体重を足で支えながら体を運ぶので、足腰を鍛えられます。

その他の遊具も遊びながら筋力やバランスなどを発達させてくれます。

好きな遊具遊びを通して筋力やバランスがつく

蹴ってもカラダがグラつかない

「上手く転がる」「楽しい」

ポジティブな報酬期待

上手にボールを蹴れる!」と自己効力感が高くなる

上記のように、Bくんが意図したように「ボールを蹴る」ことができ、「できた!」「楽しい!」経験から、自己効力感や報酬期待感を高めることが出来るかもしれません。

お父さんB

(最近、しっかり遊具で遊んでチカラ強くなってきたなあ。そろそろボールしっかり蹴れるんじゃないかな…)

なあA、一回だけボール蹴ってみてよ。コロコロコロ…。

Bくん

…(ボール蹴るの苦手なんだよなあ)。はい(ボールを蹴る)。

「!!(なんか今までと蹴る感覚が違う!しっかり蹴れて楽しいかも!)」

お父さんB

めちゃくちゃ上手に蹴れるじゃん!お父さん、うれしいなあ~!

(しめしめ…)

 

実例② トイレでおしっこをしてもらいたいお母さん

今度は、トイレでおしっこをしてもらいたいお母さんAとオムツから離れられないAちゃんがいたとします。

トイレの踏み台の高さを深掘りしたお母さんA

そこで、

お母さんA
  • 保育園ではトイレでおしっこできているのに…
  • おうちのトイレに行くのを嫌がるなあ…
  • トイレは踏み台を上って座るけど、ちょっと踏み台が低いかなあ…

と深掘りしたとします。

保育園ではトイレができているので、「トイレでおしっこする」ということへの自己効力感は低くないと思われます。

しかし今までの経験で、Aちゃんはトイレの座面に対して踏み台が低く「おうちのトイレでするのは大変」というネガティブな報酬期待があるのかもしれません。

 

難しさ調整 ~踏み台を高くし、プリキュアシールを用意~

そこで踏み台を高くし、トイレに座る負担感を減らしつつ、実際に誘導するため好きなキャラクターシールを用意します。

トイレに座るまでの踏み台の高さを変える

まずは、トイレに座るまでの負担感を減らす

実際に座るまでのネガティブな報酬期待感がある

トイレに行きたがらない

トイレでおしっこしたらプリキュアシールをあげる

ポジティブな報酬期待

楽に座れる!」「トイレで出来る!」と自己効力感が高くなる

その上で、実際に「おうちのトイレでおしっこできる」ことを繰り返すことで、「おうちのトイレでするのは大変」というネガティブな報酬期待感ポジティブな報酬期待感に変わり、オムツ卒業が迎えられるかもしれません。

お母さんA

踏み台高くしたから上るの簡単になったよ~

プリキュアシールあげるから一回行ってみようよ!

Aちゃん

え~トイレ嫌だけど、プリキュアシール欲しいなあ

行ってみようかな(あれ!?上るの大変じゃない!)

お母さんA

(しめしめ)

おうちのトイレでおしっこできたね!はいプリキュアシール!

 

4.おわりに

いかがでしたか?

以下がまとめです。

まとめ

「子どもの好きなこと」と「親のして欲しいこと」をそれぞれ深掘り

子どもにとっての「親のして欲しいこと」に対する「自己効力感」と「報酬期待感」を分析

「親のしてほしいこと」を段階づけて、難しさを調整

ぜひあなたのお子さんの例に当てはめ、実践し、「楽しい!」「できた!」という達成感ある成功体験をしてもらいましょう!

親子で喜び合える豊かな子育ての一助になれれば幸いです。

もっと自己効力感について深く知りたい方は、生みの親が挙げる自己効力感理論のポイント4つをご覧下さい。

では。